「子どもに鍼をする」と聞くと、細い鍼を身体に刺す姿を想像されるかもしれません。
しかし、小児鍼では基本的に鍼を刺入しません。
専用の鍼具を使って、皮膚を軽くなでたり、触れたりしながら刺激を加えていきます。
一見すると、
「これで何をしているのだろう?」
と思われるほど、ごく軽い刺激に見えることもあります。
しかし、子どもの身体は刺激に対する感受性が高く、大人にとっては弱く感じる刺激でも、その子にとっては十分な刺激になることがあります。
大切なのは、強く刺激することではありません。
その子の身体がどのように反応しているのかを確かめながら、必要な刺激量を選ぶことです。
小児鍼でも、私が大切にしているのは「適刺激」という考え方です。
私は小児鍼について説明するとき、「子どもは全身がツボです」とお話しすることがあります。
ここでいう「ツボ」とは、教科書に示された固定された経穴のことではありません。
私は小児鍼について説明するとき、
「子どもは全身がツボです」
とお話しすることがあります。
ここでいう「ツボ」とは、教科書に示された固定された経穴のことではありません。
私が普段の施術でいうツボは、そのときの身体の状態が体表に現れた反応です。
その反応は、いつも同じ場所に、同じ形で現れるわけではありません。
身体の状態が変われば、場所も形も変化します。
小児では、こうした体表の変化が大人よりも大きく現れることがあり、刺激に対する感受性も高いと考えています。
そのため、特定の経穴だけを探すというより、身体全体を一つの反応の場として見ていきます。
小児鍼では、皮膚の状態を注意深く観察します。
特に私が確認しているのは、
色つや
湿り具合
皮膚を面として見たときの、わずかな陥凹や膨らみ
などです。
どれも非常に微妙な変化です。
目で見るだけでは分かりにくく、皮膚を軽くなでながら注意深く探ることで、初めて気づくことがあります。
小児鍼では、この「軽くなでる」という行為が、身体の状態を確認することと、刺激を加えることの両方につながっています。
皮膚に触れ、反応を探り、その反応を見ながら次の刺激を考える。
大人のあん摩で行っている「触れて、感じて、そのまま働きかける」という考え方を、さらに繊細な刺激で行っているともいえます。
小児鍼で刺入しないのは、単に「子どもだから痛くない方法にしている」という理由だけではありません。
子どもの身体は刺激に対して素早く反応することがあります。
大人から見れば、
「これだけで十分なのだろうか」
と思えるほど軽い刺激でも、その子にとっては強い刺激になっていることがあります。
だからこそ、小児鍼では刺激を強くすることよりも、身体の反応を見ながら「どこまで刺激するか」を判断することが重要になります。
また、子どもは長時間の施術に耐えることが難しいため、短い時間の中で反応を確認しながら、その子に必要な刺激量を判断します。
刺さなくてもよいのではなく、
「その子に必要な刺激を考えた結果、刺入する必要がない」
というのが、私の小児鍼に対する考え方です。
必要なだけ刺激し、身体の反応を見て、そこで止める。
ここでも基準になるのは「適刺激」です。
刺さない鍼は、子どもだけのものではありません。
大人でも刺激に敏感な方や、強い刺激を必要としない状態では、刺入しない鍼を選ぶことがあります。
鍼は「刺すこと」が目的ではありません。
身体に触れるだけの刺激、軽く働きかける刺激、必要に応じて刺入する刺激。
その中から、身体の状態に合った方法を選びます。
小児鍼は、「弱い鍼」なのではありません。
感受性の高い身体に対して、必要な刺激をできるだけ丁寧に選ぶ施術です。
子どもの身体を注意深く見て、触れて、その反応に合わせる。
その考え方は、当院が行っている他の施術にも共通しています。